近年、教員の過酷な労働環境が話題に取り上げられる機会が多くなっています。その問題に一石を投じようと部活動顧問を断ると宣言した中学教員のニュースは、まだ記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
部活動顧問への就任が義務化している現状
部活動の顧問に就任するかどうかは、本来自分の意思によって選べるようにしなければいけないはずです。
しかし現実は、部活動顧問が各教員の仕事であるかのように割り振られて義務化しています。
かねてからその点について疑問を抱いていた九州地方にある公立中学校の30代の教員は、2018年の新年度が始まるタイミングで学校側に部活動の顧問就任が教員の義務になっているのはパワハラであるとして、職員会議において部活動の顧問就任を断ることを宣言しました。
宣言の後、職員会議の場は静けさに包まれたそうです。しかし他の教員の中にはその宣言に対して理解を示す人も複数でてきたそうで、勇気ある宣言をした教員にとってはそれが救いになっているといいます。
割にあわない部活動指導
ほとんどの学校において部活動の顧問就任は当然のようにして行なわれていますが、教員からしてみると部活動の顧問という仕事は割に合わないという意見が多いのではないでしょうか。
平日夜の時間だけでなく休日までも部活動の指導で自分の時間が削られてしまうのに、部活指導は時間外労働ではないことから、時間外勤務手当は支給されません。
基本給の4%に相当する教職調整額の支給はあるものの、仮に基本給が20万円であればその支給額は8,000円とわずかです。
また2017年にスポーツ庁が公表した調査結果によると、公立中学校で52%、公立高校で43%の教員が、部活動顧問としての活動の影響で「疲労や休息不足が悩みである」と回答していたことがわかりました。
金銭的なメリットもなく、多くの時間が削られてしまう部活動顧問という仕事は、普段の業務も多忙な教員に押し付けるにはあまりに重いといわざるを得えません。
教員の労働環境改善への動き
こうした問題を受け、「ノー部活デー」への取り組みを推奨している教育委員会も出てきました。
部活動が負担になっているのは、教員だけではありません。
子どもたちの中にもほぼ休みのない部活動で疲労が蓄積され、そこからくる眠気で「授業に集中できない」などの問題を抱えている場合もあります。
部活動に熱心に取り組むこと自体を否定しているわけではないですが、上記のような問題が多発するようでは良くありませんから、今後は部活動のあり方というものがさらに見直されていくかもしれません。
まとめ
こうした労働環境改善への取り組みが実を結び、教員への負担が少なくなれば心身に余裕が生まれます。その余裕は、より良い教育へとつながっていくのではないでしょうか。
【参考ページ】
https://www.bengo4.com/internet/n_7672/
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2363829017112017CC1000/
https://mainichi.jp/articles/20171118/k00/00m/040/066000c
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