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学校における働き方改革!どのような取り組みが行われているのか?   [2021-05-31]


「働き方改革」という言葉は、今や誰しも耳にしたことがあるでしょう。2019年4月より働き方改革法案の一部が施行されてから、日本では大企業だけでなく中小企業にとっても重要な経営課題のひとつとして広く認知されるようになりました。では、教育現場での「働き方改革」はどのように進められているのでしょうか?本記事では、教員の働き方改革について現状と課題を解説していきます。
 
1.働き方改革とは?
働き方改革とは、政府が掲げる「一億総活躍社会実現」に向け、働く人々の労働環境を大きく見直す取り組みのことをいいます。
 
厚生労働省が2019年4月に発表した定義によれば、働き方改革とは「働く人びとが、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革」とされています。
 
働き方改革が進められるようになった背景として、次の3つの課題が挙げられます。
 
・労働人口の減少
・労働生産性の低下
・長時間労働や過労死の問題
 
これらの課題をクリアするための、働き方改革推進の3つの柱として次の内容が挙げられています。
 
・長時間労働の是正
・正規、非正規の格差解消
・多様な働き方の実現
 
2019年4月からは、年次有給休暇の年5日付与義務や、労働時間の客観的把握、罰則付きでの時間外労働の上限規制などが義務づけられました。
 
2.学校における働き方改革の背景
日本の教育現場では長時間労働が問題となっています。世界に目を向けるとその長さは明らかで、2018年のOECDの調査では参加国の中で最長となりました。
 
その事実を受けて、文部科学省では、教師のこれまでの働き方を見直し、自らの授業を磨くとともに、その人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようにすることを目的として、学校における働き方改革を進めることとなりました。そして、学校における働き方改革について中央教育審議会で議論が行われ、2019年1月に答申が取りまとめられました。
 
 
3.学校における働き方改革の具体例
では、教育現場では実際にどのように働き方改革が進められているのでしょうか?
 
学校における働き方改革では、主に以下の4つの視点が挙げられます。
 
1.学校及び教師が担う業務の明確化/適正化
2.学校の組織運営体制の在り方の見直し 
3.勤務時間の在り方に関する意識改革と制度面の検討
4.学校種や学校の設置者の違いを踏まえた働き方改
 
例えば東京都教育委員会では、平成30年に策定した「学校における働き方改革プラン」に基づいて、主に教員の長時間労働の改善に向けて以下のような取り組みを行っています。
 
・教員の業務量の適切な管理などに関する規定等の整備
勤務時間条例を改正し、上限時間を原則1ヶ月45時間、年間360時間までとする。
 
・夏季休業期間等における学校閉庁日の設定
全都立学校において、原則5日以上の学校閉庁日を設定。
 
・部活動指導員の配置
部活動の実技指導や学校外での活動の引率を行う部活動指導員を配置。都立学校174校に733人(163校に599人)を配置。
 
・スクールサポートスタッフの配置
小中学校で学習プリントの印刷等、教員の授業準備をサポートするスタッフを配置。53地区1,698人(45地区986人)を補助対象に決定。
 
・学校マネジメント強化モデル事業の実施
副校長を直接補佐する非常勤職員を配置。小・中学校476校(117校)、都立学校40校(14校)においてモデル実施。
 
このように、教員の長時間労働の改善とそれによる教育の質の維持向上を図ることを目的とした施策が行われています。
 
参考:東京都教育委員会「令和2年度の学校における働き方改革について」
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/press/press_release/2021/release20210204_03.html
 
 
4.学校における働き方を推進するうえでの課題と今後の展望
ここまで学校における働き方改革について解説してきましたが、実際にはスムーズに進んでいるとは言い難い現状があるのも否めません。とくに公立校の教員は一般企業のように人員を即座に増やすことができません。そのため人員と業務量がアンバランスになってしまい、どうしても長時間労働をせざるを得ないという状況にある教員が多くいます。また、教員は職業の特殊性から、時間外(残業)手当や休日出勤に給与が発生しない代わりに「教職調整額」として、月給の約4%相当が上乗せ支給されています。結果的に「正確な出退勤の時間」を把握しようとしない状況が常態化しており、無制限に時間外労働をしてしまう現状が把握されず、慢性化し、是正が進まないことに繋がってしまっています。
 
そういった問題は各学校、組織、教員一人ひとりによって異なります。そのため国主体の働き方改革に加えて、その学校それぞれに合う形で業務の効率化や働き方改革を進めるべきなのではないでしょうか。実際に働く教員が声を出して問題を一つずつ解決していかなくては、本当の意味での働き方改革にはなり得ないでしょう。
 



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